大曽根外科・月曜外来担当:志津直行医師が、平成17年2月18日、CBCラジオ「多田しげおの気分爽快-朝からP.O.N」の「金曜ゲスト」のコーナーに出演しました。テーマは、「椎間板ヘルニア」です。
出演時にお話した椎間板ヘルニアに関するトピックを、こちらのページで紹介いたします。
1:そもそも椎間板ヘルニアとはどんな病気?
2:椎間板ヘルニアになりやすい人はどんな人?
3:椎間板ヘルニアではどんな症状がでますか?
4:このような症状が出てきて椎間板ヘルニアが疑わしいときは?
5:ヘルニアの治療は?ヘルニアは手術をしないと治らない?
6:それでも手術が必要な場合もありますか?
7:では手術はどんなことをするのか?
8:手術をしたあとしばらくはベッドの上で寝たきりですか?
9:最近雑誌等でよく目にするいわゆる「レーザー治療」について
10:ヘルニアにならないよう、あるいは一度ヘルニアを患って治った人が普段気をつけることは?
11:他に自宅で出来る腰に良い運動法等はありますか?

1.そもそも椎間板ヘルニアとはどんな病気?

人間の背骨は首から腰まで24個の骨が縦に並んで出来ています。
そして、それらの骨と骨の間に、それぞれ「椎間板」があります。
椎間板は、ちょうどお饅頭の「皮」とその中の「あん」をイメージしていただくと分かりやすいですが、周りは「線維輪」という硬い組織で出来ていて、真ん中には「髄核」というとてもやわらかい組織が、非常に高い圧力で入っています。
このお饅頭の「餡」にあたる「髄核」がクッションのような役割をして背骨にかかる体重や衝撃を和らげています。

背骨は上から順に、首の部分である「頚椎」、あばら骨が付いている「胸椎」、腰の部分の「腰椎」の3つに分けられます。「腰椎」は背骨の中でも特に動く範囲が大きく、上半身の体重を支えているので普段の日常生活でも絶えず大きな負担がかかり、比較的若い10代後半頃から椎間板の変性や老化がはじまるといわれています。

この変性した椎間板に、激しい運動や力仕事で強い負荷がかかったとき、また腰や背中を支える腹筋・背筋の筋力が落ちているとき、あるいは肥満などが原因となり、あたかもお饅頭を強く押すと皮から餡が飛び出してくるように、椎間板の中心にある「髄核」が周囲の「線維輪」を破って椎間板の外に飛び出してきます。
この状態を「椎間板ヘルニア」といいます。

背骨の後ろ側には、脳みそからつながった「脊髄」という大切な神経が走っており、腰の部分では 主に太ももから足に行く神経が走っています。
腰の部分で椎間板ヘルニアがおこると、これらの足にいく神経が飛び出した「ヘルニア」よって 圧迫を受けますので、強い腰の痛みと同時に激しい足の「痛み」や「しびれ」が生じます。

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2:椎間板ヘルニアになりやすい人はどんな人?

比較的若い20代、30代の男性に多いですが、40代、50代の方にも起こります。
椎間板に無理のかかる肉体労働者や、前かがみの姿勢で長い時間作業する方、あるいは座りっぱなし、立ちっぱなしの仕事をする方にも起こりやすいです。
また腹筋・背筋が弱っている方、肥満の方にも起こりやすいといわれています。
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3:椎間板ヘルニアではどんな症状がでますか?

典型的な症状は激しい腰痛と左右どちらかの太もものうしろからすね、足にかけての痺れ痛みです。
いわゆる「坐骨神経痛」といわれる痛みです。

この痛みは前かがみの姿勢になったり、椅子に座ったときに特に辛くなるのが特徴です。
症状が強い場合、足首や、足の指の曲げ伸ばしの力が落ちる、あるいは、すねや足を触っている感覚がわかりにくくなるなどの「神経麻痺」の症状がでることがあります。
重症の場合にはおしっこや便が出にでにくくなる、いきみにくくなるなどの症状がでることもあります。

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4:このような症状が出てきて椎間板ヘルニアが疑わしいときは?

さきほど述べた症状がある場合は、まず整形外科のなかでも脊椎の専門医の 診察を受けることをお勧めします。

画像検査で重要なのは「MRI検査」です。
この「MRI検査」は磁石の力を使って調べる検査で、機械の中で30分ほど寝ているだけですから、入院する必要はなく、針を刺すような痛い検査でもありません。
専門医の診察と「MRI検査」で椎間板ヘルニアの診断は可能です。

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5:ヘルニアの治療は?ヘルニアは手術をしないと治らない?

ひと昔前は「椎間板ヘルニアは手術をしないと治らない病気」と考えられていて、ヘルニアが見つかるとすぐに手術をして飛び出したヘルニアをとっていました。

ところが最近はMRIが簡便に取れるご時世になり、椎間板ヘルニアのかなり多くは、1ヶ月〜3ヶ月くらいで自然に吸収されてしまい、症状もきれいさっぱり治ってしまうことが分かってきました。
特に造影剤を使ってMRIを撮影すると、今後果たしてそのヘルニアが 自然に小さくなっていくものか、それとも小さくなりにくいものか判断しやすくなりますので一度脊椎専門医に相談されるのが良いでしょう。

たとえMRI検査で、飛び出したヘルニアが小さくなっていなくても、症状は取れてしまうケースもたくさん存在します。ですから、病院で「椎間板ヘルニア」と診断されても、よっぽど症状が重い場合を除いて、最初の3ヶ月間くらいは、まず手術ではない治療で粘ってみてください。

具体的には、痛みの辛いときにはご本人の一番楽な姿勢で休む、痛み止めのお薬を飲む、あるいは牽引や温熱療法などのリハビリを行う等です。
また神経の炎症を抑えるお薬と痛み止めを混ぜて神経の周りに直接注射するいわゆる「ブロック注射」も効果があります。9割以上の方が、これらの手術をしない治療で良くなります。

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6:それでも手術が必要な場合もありますか?

今まで述べてきた治療でも、どうしても症状が取れない患者さんもヘルニアの全患者さんのうち5%くらいはいらっしゃいます。
その場合は手術を行います。

ただし手術をしたからといって、症状の全てが取れるとは限りません。
手術前の状態によっては、手術をしても症状の一部が残ってしまうこともありますので、そのあたりを担当医とよく相談し、十分納得した上で手術を受けるかどうか決断すべきだと思います。
納得できない場合はほかの医師や脊椎専門医のいる病院でセカンドオピニオンを聞きに行くことをお勧めします。

ただし、足の力がどんどん落ちて歩きにくくなっている場合、あるいはおしっこの出が悪くなっているような場合は早く手術をしないと、手術後にもそれらの症状が後遺症として残ってしまうことがあるので早めの手術をお勧めします。

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7:では手術はどんなことをするのか?

手術は背中の一部を切開して、飛び出したヘルニアを取り除く方法が一般的です。
最近では「顕微鏡」や「内視鏡」をつかって手術を行う施設も多いですが、我々、藤田保健衛生大学整形外科では最も安全で、背骨や筋肉に対するダメージが少なく、かつ最も確実にヘルニアを摘出できる「顕微鏡手術」を行っています。
全身麻酔で背中を3センチほど切開して行います。
およそ40分間の手術です。
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8:手術をしたあとしばらくはベッドの上で寝たきりですか?

顕微鏡を使った手術では、切開する範囲が小さくて術後の痛みも 少ないため、患者さんは手術翌日に普通に歩くことが出来ます。
ほとんどの患者さんは手術後3日から4日で退院しています。

また椎間板ヘルニアは働き盛りの年齢の方に起こることが多く、手術で長期間、仕事に穴をあけられないということで手術をためらっている方も多くいらっしゃいます。
そんな方のためには毎週ではありませんが週末を利用した手術も行っています。

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9:最近雑誌等でよく目にするいわゆる「レーザー治療」について

椎間板に針を刺して針の先から椎間板に中心の「髄核」にレーザーをあて、蒸発させてしまう方法です。
局所麻酔で切開しないで行えますが、全てのヘルニアに対処できるわけではなく、レーザー治療に適さない症例に行うと、かえって神経や骨を傷めてしまう恐れもあります。
また、健康保険は使えません。

自分のヘルニアがレーザー治療に適しているかどうか、担当医に相談して確認するのが良いでしょう。

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10:ヘルニアにならないよう、あるいは一度ヘルニアを患って治った人が普段気をつけることは?

椎間板にあまり無理をかけないように心がけてください。
中腰の姿勢、椅子に座ったまま前かがみになるような動作はなるべく避けたほうがいいでしょう。
物を拾ったり、掃除機をかける動作にも注意が必要です。

また普段から椎間板を良い状態に保って老化を防ぐ事も必要です。
椎間板は体のほかの組織と違って血が通っていません。
椎間板に軽い圧力繰り返しが加わることで、ちょうどスポンジを押したり放したりすると、水が出たり入ったりするように、周りの組織から椎間板に酸素や栄養分が出たり入ったりします。
肉体労働で激しい負荷をかけるのも椎間板を傷めますが、ずっと同じ姿勢で長い時間いることは椎間板が絶えず潰れた状態にあることになり、あまり良くありません。
睡眠不足も同じで椎間板にとっても休む時間がなくなってしまいます。水泳、水中歩行、あるいはウォーキング等の軽い運動を毎日行うのが良いでしょう。
これらの運動は、ダイエットにも効果があります。

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11:他に自宅で出来る腰に良い運動法等はありますか?

日ごろから腹筋・背筋を鍛えておくと、背骨にかかる負担を減らしてやることが出来ます。
毎日「10回ずつ」でいいですから、仰向けに寝て膝を伸ばしたまま両足をそろえて床から20センチほど10秒間上げる運動、これは腹筋を鍛える運動です。

また、うつぶせに寝て両足をのばしたまま10秒間くらい体全体を反らせる訓練をしてください。
これは背筋を鍛える運動です。

これらは、腰痛の辛い時期には行うと帰って腰痛が悪くなることがあるので、腰痛のあまり辛くない時期に行ってください。

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